エアコンのリフレッシュってナニ?
雑誌やブログなどで取り上げられることが多くなってきた「エアコン・リフレッシュ」ですが、イシカワエンジニアリングでも推奨、施行を行っています。
ただガスをチャージするのではなく、不純物を取り除き、同時に圧力漏れのチェック、オイルや添加剤の追加などの作業を並行して行います。さらに、追加作業になってしまいますが、配管やホース内のクリーニングを施行する機能も備えています。
話題に登ることが多い「エアコン・リフレッシュ」の効果などを、より詳しくご紹介しましょう。
Snap-onのPS134Proを使用し、作業は20分ほどで完了!
最初に、作業の流れを簡単にご紹介しましょう。クルマとPS134PROの結合は、クルマの高圧、低圧の配管とPS134PROのホースを結合するだけです。様々な形状のカプラーが存在しますが、必要に応じて対応カプラーを組み合わせるだけなので、それほど時間は必要としません。
次に、エアコンの現状の作動状況を確認します。高圧と低圧の、それぞれの圧力変化をチェックして、吹き出し口からの温度を計測しておきます。エアコンは高圧と低圧の圧力差を利用して冷気を作り出すため、状況に応じて適切な圧力変化をしているか確認します。
ちなみに、冷気が全く出ない、あるいは異音が発生しているといったケースの時は、先に修理の作業を行う必要がありますが、冷え方が弱いといった程度なら、エアコン・リフレッシュの作業で冷却能力を回復できるようになります。
ガスを抜き取って規定量を正確に充填!
エンジンを停止し、ガスの回収とクリーニングを行います。これは、ガスを全交換する際に行われていた真空引きに相当する作業です。ここでは回収したガスの量を正確に計測します。
ポロGTIの場合は、500g±15gと記されています。PS134PROはこのガスの量を極めて正確に計測、充填できる点が大きな特徴です。エアコンの能力を最大限に引き出すためには、理想的な冷媒量の確保が不可欠です。
実測値は475gで、規定範囲より25g不足していました。不足分を補充することで、エアコンの効きが確実に改善されます。ちなみに、ある程度の不足でもコンプレッサーが補ってしまうため、体感しにくいこともありますが、燃費などに影響が出る可能性があります。
エアコン強化剤と規定量のガスの充填で・・・
今回は、エアコンの強化材の追加を同時に行いました。これは作動オイルに添加するもので、コンプレッサーの効率を高める働きを持ちます。
オイルには一般車用の「PAG」と、ハイブリッド車用の「POE」があり、車種に応じて使い分けます。回収された分量に応じて補充されます。
施工後、吹き出し口の温度が7度から5度未満まで下がりました。冷却効率の改善により、コンプレッサーの稼働時間が短縮され、燃費の向上も期待できます。
1年弱のゴルフ7Rでもガス量は不足?
デモカーのゴルフ7Rでは、規定量500gに対して回収されたガス量は425gと、75gも不足していました。
冷却効率は改善され、温度は8度台から5度以下にまで下がりました。
新車のゴルフ7.5Rなのに・・・
納車直後の新車でも、回収されたガスは405gしかありませんでした。施工後、冷気の温度は6.4度、強化剤添加後には4.3度まで下がりました。
ガスが多すぎてエアコンが効かない?
一方で、ゴルフ5GTIでは規定量より多くのガスが入っており、圧力過多でエアコンが作動停止するケースもありました。過充填もまた不具合の原因になることがわかります。
「効かないから補充する」のではなく、まずは適正量の確認が肝要です。
あとがき・・・
取材時に筆者のBMWでも施工していただきましたが、設定温度を上げるほどの冷え方に驚きました。除湿性能も向上し、窓の曇りが出にくくなりました。燃費も7.8km/Lから8.1km/Lへと向上しました。
メンテナンスを怠っていたからこそ、効果をより体感できたのかもしれません。定期的な点検と適正量の管理が、快適なカーライフに直結することを再認識しました。